お寺から「施餓鬼法要の案内」が届いたものの、
「そもそも施餓鬼とは何だろう」
「お盆と何が違うのだろう」
と疑問に感じる方は少なくありません。
施餓鬼(せがき)は、餓鬼や無縁仏など苦しみを抱えた霊に飲食を施し、供養するための仏教行事です。
ご先祖様だけではなく、縁のない霊魂にも慈悲を向けるという意味があり、多くの寺院でお盆やお彼岸の時期に営まれています。
また、施餓鬼には故人の供養だけでなく、善行によって自らも功徳を積むという考え方があります。
この記事では、施餓鬼の意味や由来、お盆との違い、お布施の相場、宗派による考え方の違い、当日のマナーまで詳しく解説します。
- 施餓鬼とは何か
- 施餓鬼が行われる3つの目的
- 施餓鬼の由来と歴史
- 施餓鬼とお盆の違い
- 施餓鬼はいつ行われる?
- 宗派ごとの施餓鬼の違い
- 施餓鬼のお布施相場
- お布施の表書きとマナー
- 施餓鬼法要の流れ
- 施餓鬼に参加するときの服装と持ち物
- 卒塔婆や施餓鬼旗とは?
施餓鬼とは何か

施餓鬼とは、餓鬼道に落ちた霊や無縁仏に対して食べ物や飲み物を供え、供養する法要のことです。
仏教では、生前の行いによって死後に生まれ変わる世界が決まるという考え方があります。
その中のひとつが「餓鬼道」です。
餓鬼道に生まれた存在は常に飢えや渇きに苦しみ、満足に食事を取ることができないとされています。
施餓鬼は、そのような霊に施しを行い、苦しみを和らげるための供養です。
現在では餓鬼だけでなく、
- 無縁仏
- 供養される人のいない霊
- 戦争や災害で亡くなった人々
- あらゆる霊魂
などへ供養を捧げる意味も込められています。
施餓鬼が行われる3つの目的
施餓鬼には単なる供養以上の意味があります。
①:餓鬼や無縁仏を救済するため
最も大きな目的は、苦しみの中にある霊魂へ施しを行うことです。
仏教では、困っている存在へ手を差し伸べる行為そのものが尊い功徳になると考えられています。
②:ご先祖様の供養につながるため
施餓鬼によって積まれた功徳は、ご先祖様や故人へ向けることができます。
これを「回向(えこう)」といいます。
家族や先祖の冥福を願う意味でも、多くの家庭がお盆の時期に施餓鬼へ参加しています。
③:自分自身の徳を積むため
仏教では、人へ施しを行うことは自らの心を磨く修行にもなるとされています。
見返りを求めずに分け与える心を養うことで、自分自身の救いにもつながるという考え方です。
施餓鬼の由来と歴史
施餓鬼の起源は「救抜焔口餓鬼陀羅尼経」というお経にあるとされています。
お釈迦様の弟子である阿難尊者が修行中、焔口という餓鬼に出会いました。
その餓鬼は、
「三日後にあなたも餓鬼になる」
と告げます。
恐れた阿難尊者がお釈迦様に相談すると、
「多くの餓鬼や僧侶に食べ物を施しなさい」
と教えられました。
その教えを実践した結果、多くの餓鬼が救われ、阿難尊者自身も寿命を延ばしたと伝えられています。
日本では真言宗の開祖である空海が中国からこの教えを持ち帰ったことで広まり、鎌倉時代頃から先祖供養としても行われるようになりました。
施餓鬼とお盆の違い
施餓鬼とお盆は混同されやすいものの、本来は異なる行事です。
お盆の目的
お盆は、ご先祖様の霊を自宅へ迎え入れ、供養するための行事です。
毎年決まった時期に行われ、
- 迎え火
- 精霊棚
- お墓参り
- 送り火
などが行われます。
施餓鬼の目的
一方の施餓鬼は、
- 餓鬼
- 無縁仏
- 供養されない霊
に施しを行う法要です。
実施時期に決まりはなく、年間を通じて行うことができます。
なぜお盆に施餓鬼が行われるのか
お盆は霊が現世へ戻る期間と考えられています。
そのため、ご先祖様だけでなく苦しむ霊魂へも供養を行う目的で、多くの寺院がお盆と施餓鬼を同時に営んでいます。
施餓鬼はいつ行われる?
施餓鬼には特定の日程はありません。
ただし実施が多い時期は以下の通りです。
- お盆(7月・8月)
- 春彼岸(3月)
- 秋彼岸(9月)
また、
- 大規模災害後
- 戦没者供養
- 水難事故供養
などの際に特別法要として行われることもあります。
宗派ごとの施餓鬼の違い
施餓鬼は宗派によって考え方や実施方法が異なります。
浄土真宗
浄土真宗では施餓鬼を基本的に行いません。
亡くなった人は阿弥陀如来の救いによって極楽浄土へ往生すると考えるため、餓鬼への供養という概念が存在しないためです。
曹洞宗・臨済宗などの禅宗
禅宗では施餓鬼を「施食会(せじきえ)」と呼ぶことがあります。
施す側と施される側に上下関係はないという考えが背景にあります。
また、食事の際に少量のご飯を取り分ける「生飯(さば)」という習慣も見られます。
真言宗
真言宗では施餓鬼を非常に重視しています。
護摩祈祷と組み合わせて行うことも多く、日常的な施しの実践も推奨されています。
日蓮宗
日蓮宗では「川施餓鬼」が有名です。
川や海で行う供養行事が現在も各地で受け継がれています。
浄土宗・天台宗
浄土宗や天台宗でも施餓鬼は重要な法要のひとつです。
大規模な法要として実施される寺院も多く、地域住民が広く参加しています。
施餓鬼のお布施相場
施餓鬼法要のお布施は地域や寺院によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
お布施
- 3,000円〜10,000円程度
卒塔婆料
- 3,000円〜10,000円程度
御車代
- 5,000円〜10,000円程度
お盆法要と併せて行う場合
- 5,000円〜20,000円程度
- 新盆・初盆は30,000円〜50,000円程度になることもある
寺院によっては金額を指定している場合があります。
案内状に記載がある場合は、その内容を優先しましょう。
お布施の表書きとマナー
お布施を包む際は、以下の点を押さえておくと安心です。
封筒
- 奉書紙
- 白無地封筒
- お布施用の不祝儀袋
を使用します。
表書き
一般的には
- 御布施
- お布施
と記載します。
地域によっては、
- 御施餓鬼料
- 御回向料
- 冥加料
などを用いることもあります。
水引
お布施は僧侶への謝礼という意味合いのため、水引は不要とされることが一般的です。
紙幣
新札を用意すると丁寧な印象になります。
渡し方
ふくさに包んで持参し、受付または僧侶へ直接お渡しします。
施餓鬼法要の流れ
寺院によって違いはありますが、一般的な流れは次の通りです。
- 受付を済ませる
- お布施や供物を納める
- 法話を聞く
- 読経・焼香に参加する
- 卒塔婆を受け取る
- お墓参りを行う
寺院によっては会食や交流会が開かれることもあります。
施餓鬼に参加するときの服装と持ち物
服装
施餓鬼は葬儀ではありません。
そのため、
- 黒
- 紺
- グレー
- 白
など落ち着いた色の平服で問題ありません。
男性はスーツ、女性はワンピースやアンサンブルなどが無難です。
持ち物
- お布施
- 数珠
- 案内状
- 卒塔婆料(必要な場合)
- お供え物(寺院指定の場合)
事前に案内内容を確認しておきましょう。
卒塔婆や施餓鬼旗とは?
卒塔婆
卒塔婆は故人の冥福を祈るために墓石の脇へ立てる木製の供養塔です。
お盆や彼岸、命日などの節目に建立されることが多く、追善供養の意味があります。
施餓鬼旗
施餓鬼旗(施食幡)は、餓鬼供養のために使われる五色の旗です。
仏様の加護を象徴するとされ、
- お墓に供える
- 仏壇に飾る
- 盆棚に立てる
などの使い方があります。
地域によっては法要後に参列者へ配布されます。
まとめ
施餓鬼は、餓鬼や無縁仏など苦しみを抱える霊魂へ施しを行う仏教の重要な法要です。
お盆がご先祖様を迎える行事であるのに対し、施餓鬼は広くすべての霊に慈悲を向ける供養という点が大きな違いです。
覚えておきたいポイントは次の通りです。
- 施餓鬼は餓鬼や無縁仏を供養する法要
- ご先祖様への追善供養にもなる
- お盆とは目的が異なる
- お布施の相場は3,000円〜10,000円程度
- 宗派によって実施方法や考え方が異なる
- 服装は平服で問題ない場合が多い
初めて施餓鬼へ参加する場合は、案内状や菩提寺の説明を確認し、不明点があれば事前に相談しておくと安心です。
最後までお読みいただきありがとうございました!
